誠実さをもってAIを学ぶ:エプソムの変革的アプローチ

この8月、私たちはPrepとSenior School全体で新しいAIリテラシー・イニシアティブを開始します。これは当校のカリキュラムにおける最も大胆かつ先進的な取り組みの一つであり、生徒たちがAIを責任をもって、かつ効果的に活用するために必要な、人間中心の思考力を身につけることを目指しています。

このプログラムの構築にあたって、私たちはUNESCOの人間中心のAIアプローチやOECDの「transformative competencies(変革的能力)」のビジョンなど、世界的な枠組みからインスピレーションを得ました。これらのフレームワークを土台としつつも、エプソムではそれをさらに発展させ、教室で生きた学びとなるように、学校全体で機能する独自のフレームワークを開発しました。

このフレームワークの中心にあるのは、以下の5つのコア領域です:Computational Thinking(計算的思考)、Design Thinking(デザイン思考)、Systems Thinking(システム思考)、Responsible Innovation(責任あるイノベーション)、Metacognition(メタ認知)。

これらの領域の中で、生徒は問題を分解し、パターンを見つけ、論理を用いて解決策を設計します(Computational Thinking)。共感と創造力を働かせ、実際のニーズに応じたアイデアを設計・検証します(Design Thinking)。システム同士のつながりや因果関係、小さな変化が大きな影響をもたらすことを理解します(Systems Thinking)。公平性、バイアス、テクノロジーの社会的影響について探究します(Responsible Innovation)。そして常に、自分自身の思考や学びを振り返り、目標を設定し、改善していく姿勢を育みます(Metacognition)。

これらのスキルを確実に育成するために、AI リテラシープログラムは段階的かつ構造的なモデルに基づいて設計されています。生徒たちは以下の3つの方法でこのテーマに取り組みます:教科授業への統合、特定スキルに特化した専用セッション、そして教室外での没入型学習体験。これらを通じて、生徒たちは一貫してAIとその活用について学び、さまざまな文脈で自分の考えを応用できるようになります。

この取り組みは、学年が進むごとに発展していくよう慎重に設計されています。たとえば、年少の生徒はルールベースのシンプルなゲームを通じて「公平性」の概念に触れますが、年長の生徒は実際のデータセットやニュースアルゴリズムに含まれるバイアスを分析する課題に取り組みます。プロンプトエンジニアリングは、テンプレートを使った初歩的な練習から始まり、生徒主体の洗練や評価へと進化していきます。振り返りや倫理的思考のスキルも、年を追うごとに体系的に育成され、5つの領域ごとに明確なコンピテンシーが設定されています。教員は、生徒の成長を観察、自己評価、デジタルポートフォリオなどを通じて記録し、個別に対応した学びを実現します。

エプソムでは、教育は試験対策だけでなく、生徒たちがこれからの社会を形づくるための準備であると信じています。このAIリテラシー・イニシアティブは、単なるテクノロジー教育ではありません。すべての学習者に「好奇心・責任感・野心」を育むことを目的とした、人間性の教育なのです。プログラムが展開される中で、生徒たちが自信と倫理観を持った思考者として、AIによって形づくられる未来をリードできる存在へと成長していく姿を皆さまにお届けしていきます。

学期を通して、生徒のプロジェクト紹介や、保護者の皆さまがカリキュラムを実際に体験できる機会など、取り組みの最新情報を随時ご紹介していく予定です。

Dr Terence McAdams
Dr McAdamsは、エプソムカレッジ マレーシアの新Chief Education Officerです。国際バカロレア(IB)において、コンサルタント、試験問題作成者、カリキュラム開発者として高く評価されており、国際的な教育リーダーとして豊富な経験を持ちます。エプソムでは、教育の革新を推進し、生徒たちが「批判的に考え、倫理的に行動し、明確な目的意識を持って挑戦できる」力を育むことに注力しています。