エプソムのCCA ——「象の歯磨き粉」実験レポート

今週の Chemistry Society CCA で化学実験室の前を通った方は、どよめきと歓声が聞こえたはずです。その正体は、あの有名な「Elephant’s Toothpaste(象の歯磨き粉)」実験です。科学デモンストレーションの定番ですが、高くそびえる泡の中には、化学反応速度論と発熱反応の見事な仕組みが隠れています。

メンバーがこの劇的な反応をどう再現したか、そしてその科学的根拠を紹介します。

まるで魔法のように見えますが、日用品と実験試薬を巧みに組み合わせた実験です:

  • 過酸化水素(Hydrogen Peroxide):核心成分。家庭用は3%程度ですが、CCАでは圧倒的なスケールの反応を起こすために30%の高濃度溶液を使用しました。
  • 食器用洗剤(Dish Soap):気体を「捕まえる」役割。洗剤がなければ反応で生じる気体は見えません。洗剤が酸素を捕らえ、厚くしっかりした泡に変えます。
  • 食用色素(Food Colouring):芸術的な仕上げ。メスシリンダーの内側に縦縞状につけることで、できあがった泡が「歯磨き粉」らしい見た目になります。
  • ヨウ化カリウム(Potassium Iodide):触媒。実験全体を一気に加速させる「点火プラグ」の役割を担います。


【泡ができる仕組み】
Elephant’s Toothpaste実験の本質は、触媒によって加速される分解反応です。

本来、過酸化水素は時間をかけてゆっくりと水と酸素ガスに分解されます。このままでは気づかないほど遅い反応です。しかし、ヨウ化カリウム(KI)溶液を加えると、ヨウ化物イオンが触媒として働き、反応に必要な活性化エネルギーを大幅に下げます。

この急速な分解の化学式:

2H₂O₂ → 2H₂O + O₂

ヨウ化カリウムを注ぐと、H₂O₂は瞬時に分解。生成された酸素ガス(O₂)が石鹸水を一気に通り抜け、膨大な量の温かい泡の柱となってシリンダーからあふれ出します。

【見た目だけじゃない:熱力学の体感】
視覚的な興奮にとどまらず、この実験は熱力学を実感できる学びの場でもありました。反応フラスコの外側に触れたメンバーは、明らかに熱くなっていることに気づきました。過酸化水素の分解反応は高い発熱反応であり、周囲に大量の熱エネルギーを放出するためです。

また、触媒の重要な特性——反応に消費されない——も体験できました。泡が落ち着いた後も、下の液体の中にはヨウ化物イオンが変化せず残っており、再利用が可能な状態です。

反応速度・触媒・エンタルピー変化といった教科書上の概念を鮮やかな現実として体験することで、ソサエティは科学への深い理解と情熱を育み続けています。参加した生徒たちが実験を楽しみながら多くの概念を学んでくれたことを嬉しく思います。

Mr Mahesh Warrier
Head of Chemistry